『華國ノ史』
 巨大な正門両脇には直立した雄鹿の銅像が座している。


 それを抜けると正面には幾重にも重ねられた壁と階段が見える。

 
 恐らく敵の侵入を阻む為の物だろう。


 その為、馬車で王が住む城に行くには遠回りしなければならなかった。


 街の外側から城へは螺旋の坂道が続いて幾つものゲートを通らなければ王城にたどり着けないような構造をしていたからだ。


 お陰で馬車に乗った四人は街の全てを見て回る事が出来た。


 王城門は開かれており、そこにはクラッシュがこちらに向かって待っていた。


クラッシュ
「無事であったか、まあウルブス殿がいたから多少安心はしていたが。

 
 今日来ると昨日の夜に星がそう告げていてな。

 急げ、王がお待ちだ」


セブン「これを王に」

 
 それはドラゴニュートのケイロンから渡された巻物であった。


クラッシュ
「確かに受け取った。

 事の次第は既に王に報告してある。

 控えの間まで案内させよう。

 それで?戦いはどうだった?」


ミニッツ&セコンド
「かなり船は沈めたんですけどね」

ウルブス
「どうも数が多く」

クラッシュ
「十分です。

 全く、あれだけ止めたのに無茶をして…。

 しかし、これからはそうは言ってもおられんだろうがな」


ウルブス「開戦ですか」

クラッシュ「もう始まっています。

 我々はその生き証人だ。

 そうだろ?」

 全員が魔法都市の惨状を思いだし頷き、王城へと足を早めた。

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