『華國ノ史』
 煌皇国将軍ボーワイルドとフェネックは作戦指令陣を後方へと移した。

 
 予想外の反撃に危機を感じたのだ。

ボーワイルド
「あの若造共はなんだ!」

フェネック
「首狩りのドレイクと殺戮道化を確認しました」


ボーワイルド
「あの二人が?何度私の邪魔をすれば気が済むのだ!

 
 前線に装甲歩兵を向かわせろ、魔法使いもだ!

 
 逆人は本陣前まで下がらせろ!」


フェネック
「了解しました」

 ボーワイルドが撤退を開始し、渓谷の坂道を下っていた時、

 更なる悲鳴が後方橋付近で起こっていた。

 
 双子の魔法使いが精霊を召喚したのである。

フェネック
「今度は何を呼び出したんだ?」

 
 騎馬に乗った伝令兵が坂道を孟スピードで駆け下りてきた。

伝令兵
「申し上げます。
 
 華國側も魔法使いがコカトリスを二体呼び出しました。

 石化ブレスがここにも参ります、

 退却を!前線指揮官が橋を落とす許可をと…」


ボーワイルド
「馬鹿者!

 何故攻めている我々側が橋を落とすのだ!

 
 弓と攻城弓で前線拠点を死守せよと伝えろ!

 大型の盾を持つ者を前線に送れ!

 ブレスを塞き止めつつ迎撃せよ!」


伝令兵「はっ!」

フェネック
「厄介な奴らがいるようですね」

ボーワイルド
「恐らく…

 魔法都市で煮え湯を飲まされた魔法使いに違いない。

 だから私は魔法都市を襲う必要があると思ったんだ」


フェネック
「大賛成です。

 あんな奴らを育てる機関は早々に潰さねば、

 命が幾つあっても足りません」

 
 予想外の反撃にボーワイルドは考えを巡らせた。


 それも圧倒的兵力差であったのにも関わらず、自分が窮地に置かれている状況と同じように。

 
 即座に対応しなければ王都攻略に必要な人員が不足する為であった。
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