『華國ノ史』

　～風の魔法使いのクラス～
　
　風は五大属性の内の一つである。

　特性は魔法使いの才能を表すもの。

　属性とは世界を構築する上でのものである。

　代表的な特性である為にクラスには多くの生徒がいる。

　カトリが教室に入るとみんなが彼に挨拶をした。

　彼の一族は代々風使いの貴族であったからだ。

　カトリの祖先は風の精霊王を助け、代わりに恩恵を受けたという。

教授
「今日からカトリ君がこのクラスで一緒に学びます。

　皆さんも知っていますね？

　拍手で迎えましょう」

　
　カトリは拍手に答え、優雅にお辞儀で返して見せた。

教授
「では風使いのエキスパート達の中で育ったカトリ君に風の魔法の特色を復習の為にも教えて貰いましょうか。

　
　宜しいかな？カトリ君」

カトリ
「ええ、構いません。

　オホン。

　風の魔法は迫る矢の雨を落とし、突風を纏えばどんな戦士よりも早く動け、

　鋭き風は敵を切り裂きます。


　また火の魔法使いと相性が良く、連携すれば大火を起こすことも可能です。


　帆船に我々が乗り込めば追い付ける船は無く。

　何より風魔法は目に見えずらいのも特色の一つと言えるでしょう。

　
　馬鹿みたいに炎を巻き上げたり、土魔法のようにやたらと地形を変化させる事もない。

　
　風魔法を一言で言うならば…

　
『美麗』

　
　正にその一言に尽きるでしょう。

　皆さんはその選ばれし優雅な魔法使いなのです」


　クラスは大きな拍手に包まれ、カトリを称える歓声が響いた。

教授
「素晴らしい、演説だ！
　流石は風の一族。
　まるで詩のような説明ですな！
　さあ、皆さん学びましょう。

　一番優雅な魔法を！」

カトリ
「やっぱり普通の反応はこうだよな。

　今までが異様だったんだよな。

　貴族だって事を忘れる所だった」

　カトリはここに来て初めて貴族としての自信を取り戻す。