『華國ノ史』
 セブンの生活サイクルは再度変わり、

 龍の尾に挑むのは1日置きとなった。

 
 その変わり、ウルブスによる剣術訓練が始まった。

 
 ウルブスは現役当時、華國で魔法隊三強と言われる華龍隊で隊長を勤めていた男であった。

 
 華龍隊は初代隊長バルデスが作った隊から派生したとされ、

 魔法だけでなく近接武器の腕も確かな魔法剣士集団である。


 ウルブスから見たセブンは基本は中々出来ているようであった。

 
 セブンの祖父は菫騎士団の団長で、みっちり教え込んでいたからであろう。

 
 しかし、それでもセブンには教わることが多かった。

 
 構えの種類、相手の構えに対する構え、振り下げ、上げ、

 突き、払い、組合せ、フェイント、視線。

 
 理論的な戦術から直感反射による剣技。

 相手の武器に合わせて戦法を変える方法。

 魔法との組合せによる戦術。

 魔法だけで戦うよりも戦闘の幅が広がるのは明らかであった。


ウルブス
「魔法を使える戦士が強いのでは無いという事だけは頭に入れておきましょう」 


セブン
「なんでですか?」

ウルブス
「上級魔法を唱えている間に、相手が殺傷能力の高い中級魔法を唱えたら?

 例え威力の高い魔法を知っていても、

 魔力が高くても負けますからね。

 
 そして剣を降り下げるのは時として、それよりも速い」


セブン
「じゃあ剣だけ覚えておくって事ですか?」

ウルブス
「それでは状況によって打ち負けるでしょう。

 
 つまり、状況を判断し最も的確な攻撃を行う事が何より重要な事なのです。

 
 強い魔法使いでも一本の矢に倒れる事もある。

 
 どんな屈強な騎士も魔法で操られる場合もある。

 
 慢心するなという意味なのです」 

 セブンはウルブスに剣術だけでは無く戦闘そのものを教わっていった。


 セブンはウルブスの異様な強さに初めは驚いていたが、

 徐々に不思議になっていった。

セブン
「ウルブスって時々変な感じになるよね?

 あっなりますよね?」

ウルブス
「もう、気づきましたか?

 教えましょうか、私が俊撃と言われる由縁を、

 しかしこれはとても危険です。

 
 慎重に学ぶという事を約束出来ますか?」

セブン「約束します!」

ウルブス
「では教えましょう。

 私が考え、幾つもの死線をくぐり抜けた現在最強の魔法剣術を」

 
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