好き嫌い。

その2

「あたしがどうしてようと、康太君には関係ない。」



突き放す言い方しか出来ない。

そうすることでしか、自分の気持ちに鍵をかけられなかったから。


「ミノリ」

「名前だってろくすっぽ知らなかったじゃない。」


ミサトって呼ばれた。
確かに漢字だけ見れば、ミサトかもしれない。


でもミノリ、と友達は皆呼んでいた。


知らないということは、接点がなかった証拠。


事実、実里より康太は2つ年下だ。

当然接点がない。


「年上だから嫌なんでしょ。ほっといて。もう昔とは違うんだか」


そこまでしか言えなかった。


まくし立てるように話していた唇は、康太のそれに塞がれていた。


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