好き嫌い。
「ミノリ、とにかく話を聞いてくれ。でないと始まらないんだ。」

…何を今更始めるの?

もう終わった事なのに。

もう戻れないのに。


首を横に振り、拒否する。


「ミノリ…俺が嫌い?」


そんなずるい聞き方しないでよ。

嫌いって言えたらどんなに楽だろう。

忘れたくても忘れられない、溢れるくらいの愛情を。



「ミノリ…答えろ。」


低い声。


大好きな、大好きなこうちゃん。


「嫌いになりたかった…」


背中を向けたまま、バウの首すじに顔を埋めて呟いた。


「冗談って言われた時に嫌いになりたかった‼︎」


大粒の涙がこぼれ落ちた。


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