好き嫌い。
手早く出かける支度をして、はたと気付く。


…スッピンのままだった。


一旦うちに帰らなきゃだなぁ。

絶対にお母さんに突っ込まれる。どうしよう。


「ミノリ、お母さんに挨拶しようか?」


…え?


「なんでわかったの?」

考えてること、なんでわかるの?


「ミノリのことなら何でもわかる。


…なーんてな。
昨日夜に【お母さんにメールしなきゃ】って言ってたからな。
多分突っ込まれるのが嫌だとか考えてるんじゃないかとか思ったんだよ。

正解?」

…正解過ぎてビックリ。


「俺、ちゃんと責任とるから。
ミノリのこと遊びにするつもりもないし、軽い気持ちで抱いた訳じゃない。


この想いは小学生の時から持ってたものだからさ。」


…どうしよう。泣きそう…。



「ミノリが俺じゃ嫌だって言っても、俺はミノリを離さないから。

もう、あんな辛い思いはしたくないんだ。」


嬉しくない訳が無い。
こんな風にストレートに気持ちを伝えてもらって、疑う余地もなくて。


「康太…返品きかないよ?」


「返品なんかするもんか。」


あんなに逃げてたのが不思議だ。

もう、背中を向けたりしない。


< 51 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop