好き嫌い。
「ミノリ…」


ふいに電話から聞こえてきた愛しい声。



「切るな!切らないで話だけ聞いてくれ…頼む。」



…康太…。


「ごめん。ミノリを傷付けてばかりで。

…自分のしたことを正当化するつもりはないよ。

ただ…ミノリのお父さんに[娘のことは一時的な感情だろうから、距離を置けば忘れるよ。]って言われて、ミノリに会いたいって連絡したら[会わない]って言われて…。会ってもミノリは俺を見ないし抱かれたくないとまで言うし…。


俺みたいな青二才じゃダメなのかって悩んで…。」


そう…。


でももういいよ。


「メールは気付かなかったんだ。本当に。」


不意に後ろから腕が伸び、実里を抱きしめてきた。

「わ⁉︎」

「都合よすぎだよなぁ。
好きな女がいて、その子がいるのに他の女とヤろうってんだからさぁ。

実里ちゃんは俺が貰うから。

文句ないよな、青二才。」

「せ、関家さん⁉︎」
「誰だお前っ⁈」


電話口に向かい言い放つと、関家さんはウインクをしてみせる。


「名乗る必要ある?
大体さぁ、一時的な快楽求めたって、愛してる女とセックスするのとは快感の度合いが違うって。
それを分からない時点でお前ダメだね。
実里ちゃんみたいな真っ新な子、やれないよ。
俺が貰う。
心配いらないよ、大切にするから。」


そう、抱きしめながら言う関家。


何を考えてるの?


「てめぇ、ミノリに手ぇだしてみろ、許さねぇからな。
だいたいそこ、どこだよ。」
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