好き嫌い。

その6

「いやぁ、何の関係もないわけじゃないんだよね。」


ははは、と笑う関家。

「え?」

「君の友人の1人に増村 香代っているでしょ。」


…香代ちゃん?


「はい、います。」


「俺ね、香代の兄貴。」

「は?香代ちゃんには弟しか」
「正確には香代の旦那の兄貴。香代は今、関家 香代。知らないわけないと思ったんだけどなぁ。」


………。



あ。


「香代ちゃんの結婚式に出られなかったから、よくわからなくて…じゃあ、義理のお兄さん?」


「そ。そういうこと。ちなみに弟は刑事さん。だから君の事探すようにあいつから連絡あってねぇ。
まさか目の前にいる君だとは思わなかったけど。」



ふふふ、と笑う関家の顔はそれでもとても優しいもので。


「じゃあ、色々言ってたのは嘘?」


「いや、全部ホント。」

…何がホントで何が嘘なのか。


「でもさ、君は初対面の俺を信用してくれたよね。…同じ様に彼を信じてやったら?」


康太が浮気をしようと決めた理由を聞く。


それから、だ。


「君には見せたことがない一面が彼にはあるのかもね。」


ポン、と頭に乗った大きな手。

一歩踏み出そう、と決めるきっかけをくれた…人。


「はい…。」




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