危険なキス

放課後、あたしは一人、教室に残っていた。

窓辺の席から、外の風景を眺め、ただただずっと時間を過ごしていた。


本当は、あの時すぐに、先生のもとに行きたかった。

「どういうことですか?!」と詰め寄りたかった。


だけど先生の周りには常にたくさんの女子生徒がいて、とてもじゃないけど話に行ける間などなく、気が付けば放課後になってしまっていた。


だけど……


あたしは確信していた。



ここで待っていれば
あの人は必ず、ここに来ると……。



ガラッ…と言う音とともに、後ろの教室のドアが開いた。

そして振り向く前に、ドアを開けた主が声をかける。



「まだ帰ってなかったんですか?」



その声を聞いて、あたしは後ろへと振り返った。
 
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