危険なキス
そこにいたのは、あたしが予想した人……湯浅先生だった。
あたしは先生の目を見ると
「待ってる人がいるんです」
一言そう答えた。
「そうですか。それで、待ってる人は来ましたか?」
「はい……。今目の前に……」
先生は分かっていたのか、ドアを閉めると、あたしの知っている意地悪な笑顔を向けた。
「そんなに俺に会いたかったか?」
「………はい」
素直に答えたのか予想外だったのか、先生は目を丸くする。
そんな先生に、あたしは言葉を続けた。
「どういうことですか?」
「何が?」
「とぼけないで。最初から分かってたんですよね?あたしの学校に来ること」
そこまで言うと、先生は一歩ずつあたしに近づいてきた。