危険なキス
「あとで、返せって言っても返しませんから」
「いいよ」
それを見て、先生は満足そうに笑った。
そんなふうに笑われたら、もう返せない。
「それじゃあ、今度こそ帰ります」
「はいよ」
とくに引き留めることはしない。
だけど、どうしても言いたいことがあったので、先生の真横に来ると足を止めた。
「先生が……急にあたしの学校の教師として現れたのはビックリしたし、それを分かっていたことに怒りも感じますけど……」
あたしは先生の顔を見上げて微笑んだ。
「だけど……
会えて嬉しかったです」
「……」
その途端、あたしの頭は急に引き寄せられた。