危険なキス
「へえー……」
「な、なんですか……」
「可愛いとこあんじゃん」
「これはっ……たまたま、あたしの時計が壊れちゃってっ……、時計も使わないと止まっちゃうから、使わせてもらってるだけですっ……。
……か、返しますっ!!」
あたしは先生の時計をしていることがバレたのが恥ずかしくて、すぐにその時計を外した。
だけど先生は、差し出した時計に手を伸ばさない。
「いいよ、お前にやる」
「そんな……。だってこれ、結構高いんじゃ……」
「べつにそんなのはどうでもいい。
お前がしたいんだったらすれば?」
「……」
まるで人を試すかのような微笑み。
やっぱり突っ返そうかと思ったけど、どうせなら本当にもらってやる、という思いに切り替わり、あたしは再び自分の腕につけた。