危険なキス
「ちょっ、柊っ……話を聞けって……」
「拓也っ。どうしたの?」
「あ……」
楠木は、あたちと一緒に麻衣子がいたことに今気づいたみたいで、麻衣子の顔を見て言葉に詰まる。
そんな姿を見て、余計に腹が立った。
「麻衣子…あのね。
こういっちゃ悪いんだけど……」
あたしは一度楠木を見ると、再び麻衣子へと視線を戻した。
「この男って、本当に最低だねっ」
「え?え?」
呆れた顔で言い放つあたしに、麻衣子はハテナマークを浮かべるばかり。
「どういうこと?」と楠木に問いかけてるけど、ヤツは言葉を濁すばかりで……。
あたしは二人のもとから離れて、さっさと自分の席についた。