危険なキス
 
振り返ると、そこには湯浅先生がいた。


「先…せい……」

「まだ帰ってなくてよかった。
 さっき、物理室に忘れ物がありましたよ」

「え?」


物理室とは、いつのことだろうか…。
今日、片付けをしているときにでも、何か忘れてきたんだろうか……。

だけど相手は湯浅先生だ。

いったい、どこまでが本当なのか分からない。

でも……


「あ、はい!取りに行きます!!」


今はこの場から、逃げ出したかった。


「ごめん。二人とも先帰ってて」
「いや、それくら待ってるよ。なあ?」
「え?あ、うん」
「ううん!
 それに楠木!せっかく麻衣子がこんな時間まで待っててくれたんだから、デートで何かおごってあげなよ」


あたしは二人のそう提案をすると、それ以上の返事をさせる前に歩き出した。

湯浅先生も、二人に「さよなら」と挨拶をして、後ろへついてきた。
 
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