危険なキス
あたしの前で、靴に履きかえる二人。
少しよろめく麻衣子を、さりげなく楠木が支えてフォローをする。
あたしはそんな二人を、ただじっと眺めていた。
「紫乃!何してるの?」
いつまでも靴に履き替えないあたしを見て、麻衣子が不思議がりながら声をかけてくる。
「あ、うん……」
認めてるはずだった。
自分から身を引いたはずだった。
だけどどこかでいつも逃げていた。
二人が付き合っている現実を。
自然と二人が一緒にいるときを避けていた自分。
そんな中、あたしは今、二人と一緒に帰ることが出来るんだろか。
ちゃんと笑えることが出来るんだろうか……。
あたしは……
「柊さん」
突然、後ろから誰かに名前を呼ばれた。