危険なキス
「マーキングだ、っつってんのに、ほかのヤローに触られたら意味ねーだろ」
「え…でも……」
「口答えすんじゃねー」
「……」
駄目だ…。
この俺様を誰かどうにかしてほしい。
目の前にいる湯浅先生からは、もうみんなが知る湯浅先生を微塵も感じさせなかった。
でも……
どうしてそんなことで先生が怒るの……?
だってそれじゃあ、まるで……
「ヤキモチ……妬いてるんですか……?」
楠木に妬いているみたいだ。
「はぁ?んなわけねーだろっ」
その言葉を聞いて、一昨日の車の中でのように、取り乱す先生。
だけどあの時よりも、だいぶ焦っているように見えて、頬もほんの少しだけ染まっているように見えた。