危険なキス
 
「マーキングだ、っつってんのに、ほかのヤローに触られたら意味ねーだろ」
「え…でも……」
「口答えすんじゃねー」
「……」


駄目だ…。
この俺様を誰かどうにかしてほしい。

目の前にいる湯浅先生からは、もうみんなが知る湯浅先生を微塵も感じさせなかった。



でも……

どうしてそんなことで先生が怒るの……?


だってそれじゃあ、まるで……



「ヤキモチ……妬いてるんですか……?」



楠木に妬いているみたいだ。


「はぁ?んなわけねーだろっ」


その言葉を聞いて、一昨日の車の中でのように、取り乱す先生。

だけどあの時よりも、だいぶ焦っているように見えて、頬もほんの少しだけ染まっているように見えた。
 
< 196 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop