危険なキス
「せんせい……?職員室に行くんじゃ……」
連れてこられた場所は、職員室なんかじゃない。
そこは物理準備室だった。
先生はあたしを壁に追い詰めると、上から見下ろす形で見据えている。
なんか……
すごい怒ってる気がするんだけど……。
反抗するのも怖いくらい、先生からは不機嫌なオーラが醸し出されている。
あたしは冷や汗をかきながら、ただ先生の顔を見上げていた。
「……お前、何勝手に触られてんの?」
「え……?」
ようやく口を開いたかと思えば、そんな発言。
先生の発言に、頭がついていかない。
「えっと……それはどういう……」
「ここ。触れられてんじゃねーよ」
「あ……」
先生が指さした場所は、ついさっき、楠木からも指摘されたばかりのキスマークのある場所。
あたしはそこでようやく、先生の言葉の意味が分かった。