危険なキス
 
「やっぱ、無理ですよね……。
 すみません、また機会があったら……」

《俺んち》

「え?」


悲しい気持ちを抑えながら、電話を切ろうと思ったら、先生が言葉を遮る。

そして思いがけないことを続けた。


《明日、1時に駅に来い。
 俺んちでいいなら、教えてやる》

「え!!」

《用件はそれだけだな。じゃ》


そしてあたしの答えを聞く前に、先生は電話を切ってしまった。


えっと……
つまり先生は、結局勉強を見てくれるってことだよね……?


理解するまでにちょっと時間がかかり、
そして場所が先生の家、ってことに急にぼっと熱くなった。


勉強……出来る気がしない……。


あたしは高鳴る鼓動を抑え、勉強に専念した。
 
< 284 / 382 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop