危険なキス
 
12時45分。

あたしは先生に言われた通り、駅前まで出ていた。

そして1時前になると、一台の車が前に停まる。
それは見覚えのある黒い車で、停まると同時に窓が開いた。


「乗れ」
「…はい」


顔を覗いたのはやっぱり先生。

そしてその身なりは……


「……っ」


メガネなし。
髪はワックスはしてないけど、かためてもいないでラフな感じ。
服装も、ジーンズにTシャツだった。


いい加減、仮面をかぶった外見に慣れ過ぎて、間近で見るその姿に心臓がドキッとした。


車に乗り込んだ瞬間、先生がじっとあたしを見る。


「な、なんですか……?」

「スカート。俺のため?」

「!!」


スカートから覗く太ももを見て、にやりと笑う先生。

思わず、両手でバッと隠した。
 
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