危険なキス
 
「ち、違います!自惚れないでくださいっ」
「へー」


なんて可愛くないことを言ってしまったけど、本当に先生のため。

家庭教師をやっていた時は、とにかく先生のことが嫌いだったから、あえて色気のない格好ばかり。
そのたびに、もっと色気のある格好をしろ、だの言われてた。

だけど今は、好きになってしまったせいか、少しでも可愛くありたい……。

そんな乙女心が働いてしまった。


「いいな。触りたくなる」
「なっ、いいから運転に集中してくださいっ!!」


先生は相変わらずセクハラ発言ばかりで、あたしは伸びてきた手をパシンと叩いた。


「でも先生だって……メガネ……」
「ああ、だってあれ、ダテだから」
「え!そうなんですか!?」
「頭良さそうに見えるだろ?」


そう言って、ニヤリと笑う先生。

やっぱりこの人は、何も変わってないや……。



先生の家にはあっという間について、外付けの駐車場に車を停めると、エントランスに入る。

オートロック式で、割といいとこのマンションだった。


「入れよ」
「……はい…」


そして促されるまま、部屋に入った。
 
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