危険なキス
 
「そういえば、職員室に行けば、サンダルとか貸してもらえるらしいよ」
「そっか。じゃ、ちょっと借りてくる」
「いってらっしゃーい」


下駄箱で麻衣子と別れると、あたしは一人、職員室に向かった。


中に入って、近くの先生に声をかける。

そして、上履きを忘れた、と伝え、サンダルを貸してもらうことにした。


「ありがとうございました」


と、職員室を出ようとしたときだった。


「…っ」


あたしが扉を開ける前にそれは開き、そして目の前に現れたのは湯浅先生だった。


「お、はようございます……」
「おはようござい………サンダル?」


突っ込まれる前に立ち去ろうと思ったけど、先生に気づかれてしまったようだ。

あたしはそれ以上何か言われる前に、「失礼しました!」と言って、職員室を出た。


先生も、みんなの手前、追ってくることはなかった。
 
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