危険なキス
 
   ***


次の日、学校へ行くと……


「……やっぱり…」


今度はご丁寧に、上履きがなくなっていた。


「持って帰るべきだったか……」

「おはよー!」


下駄箱の前で立ち尽くしていると、いつものように麻衣子が声をかけてきた。


「おはよ、麻衣子」
「どうしたの?朝から怖い顔しちゃって」
「あー、ね……ちょっと……」
「え?……あ、もしかして……」


下駄箱に入っていない上履きに気づいて、麻衣子も悟ったようだ。

そしてあたし以上に、怒りの声をあげる。


「さいってー!イマドキ、こんな幼稚なことするやついるんだ!!」
「麻衣子、声大きい」
「だって……!!」
「しょうがないよ。
 だって……本当に幼稚なんだもん」
「……ぷっ…」


笑顔で返すあたしに、麻衣子も思わず吹き出す。

あたしたちは、嫌がらせを受けているというのに、朝から大笑いをした。
 
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