危険なキス
二人が仲良く一緒に歌っている姿を見ていると、本当にお似合いなカップルだな、って思った。
きっと二人は価値観が一緒で、何をやっても楽しいと思う。
笑いのツボや、怖がること、喜ぶこと、それは同じほうが楽しい。
そう言い聞かせ、エレベーターへ乗り込もうとした。
「おいっ!」
「え……?」
だけどその時、あたしを追いかける声がした。
「はぁっ…はぁっ……どうしたっ?帰んの?」
そこには、慌てて追いかけてきたのか、息をきらした楠木の姿があった。