危険なキス
耳元でささやくように言う先生。
あたしは思わず、カッとなった。
(じゃあ、俺は帰るな)
(あ、はい……)
体がだるすぎて、とてもじゃないけど玄関まで送っていけず、あたしはベッドの上から先生を見送っていた。
だけど、ドアに手をかけたところで先生が振り返る。
(紫乃。またな)
少しだけ微笑んだその顔は、なんだかほかに言うことがあったんじゃないかと思わせた。
だけどそれ以上何も言うことはなく、先生は部屋から出て行った。