闇に咲き誇る桜





今迄の奴らとは違うと思った俺は、此処に来て初めて、少しだけ本気を出そうと思った。




相手の利き手に合わせたほうが、強い奴と戦うにはやりやすいのが俺の剣だ。

だから俺は左で木刀を持ち、左足を引いて右手を柄にかける。






我ら桜花二刀流の初太刀は、抜刀術から始まる。


もともと俺の身体に染み付いていた物と、師匠から教わった剣は酷似していた。

抜刀術から先は、数多の技を組み合わせることでその人自身の剣が完成する。

技をすべて伝授され受け継ぐことを伝統とし、また自らの技を新たにつくって完成させ、師に勝つことで一人前と認められる。





俺は自身の技を完成させていて、この流派の開祖が師匠だった為、師匠の技を全て伝授されるだけで一人前と認めて貰える試合ができ、あの夜の十日前に免許皆伝をもらい、桜花二刀流の師範を任されたばかりだった。





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