君が好きだから嘘をつく
迷い
     ーどうしたらいいんだろう?ー

頭に巡るのは、決まらない気持ちと鬱陶しい程卑屈な想い。
健吾を好きでいても、私を好きになってくれることはないって分かっていたのに。
それでもいいって今まで思ってきたのに、どうして【ただ好きだから】と割り切れなくなったのだろう。

ちゃんと友達として笑って、相談にのって、応援して。
その全てが辛くなる・・・

私、全然笑ってないよ。
もっと、健吾の前で心から笑いたい。

気持ち隠して、嘘ついて、その重さに押しつぶされている。

全部、自分のせいなんだ。

「もっと早く、好きって言えばよかったかな・・・」

帰り道、歩きながらつぶやく。

「好きって・・・・・言えたらなぁ・・」

今更言えないその言葉を繰り返す。
気持ちを隠して過ごしてきたこの5年以上の月日が、いい結果を何か出したのかな。
いい友情を築いたけど、健吾は他の人を好きになって、私達の【美好】も私達だけの大切な場所じゃなくなっちゃった。

だんだん何かを少しずつ失っていくような、この寂しさは何だろう・・・

誰かを好きでいることが、こんなに辛いなんて。

< 143 / 216 >

この作品をシェア

pagetop