最大の出来事
「仲直りをしたら?噂をすれば、来たよ」
「育実・・・・・・」

 遠くから左右を見ながら、育実が走ってきた。
 徐々に距離が近づいて、育実も一桜の存在に気づいて、さらにスピードを上げる。

「あっ!」
「きゃっ!」

 下り坂を走っていると、靴のつま先が引っかかって、大きな音を立てて転んでしまった。
 それを見た一桜は急いで育実に駆け寄った。

「大丈夫!?育実!」
「一桜ちゃん・・・・・・」

 出血をしていないか、足を動かすことができるか、一桜は心配している。
 育実が立ち上がろうとしたとき、一桜は手を貸して、近くのベンチまで歩いた。

「育実、私のことを怒っているんでしょ?」
「どうして・・・・・・」

 いつも迷惑をかけてきたのは育実なのに、どうして怒っていると思っているのだろうか。

「怒ってなんかいないよ」
「嘘・・・・・・」

 あんな一方的に言いたい放題言ったのだから、怒っているに決まっている。
 育実はもう一度一桜に対し、怒っていないことを伝えた。

「嘘だから・・・・・・」
「何が?」
「育実といるの嫌になったことなんて、嘘だから・・・・・・」

 離れて行く育実を見て、一桜は不安になった。
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