君がいないと落ち着かない

ちー


《…ということが駅前でありました》
《それ、俺らのバンド》
《え!》
さっきまで入っていた風呂で濡れた髪をタオルでワシャワシャと拭く。
電話の向こうで驚いて声を上げたのは愛しき彼女だ。
メールより電話が好きなくせに、携帯を持ち歩かないうえに一度寝たら起きないらしく、毎回5、6回は電話してもでない方が多い。
今回は7回目で出た。
その日はどんなに時間を空けても出ることはないけど、0時過ぎればすぐに出てくれる。
昼寝するたび熟睡で、なかなか眠れなくなって大体3時半過ぎまでは起きているらしい。
《じゃあ、歌ってたのは?》
《俺じゃないよ》
《弟》
続けざまにそう答えた。
千尋のやってるバンドは部活としてでは無いものの、森山高校として県大会や地元の祭りなどに参加することも多々あった。
大会などで知り合う人達と合同ライブなどをしたこともあった。


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