君がいないと落ち着かない
友達との話にそろそろ区切りがつき始めてふと、周りに目を配らせた。人だらけだった食堂もガラガラになりかけていた。3組から5組の座っていた席にはもういなく、1組と6組に数人が個々に固まって話をしていた。クラスの男子ももう姿はなかった。
「そろそろ戻ろう~」
林に声をかけると静かに頷き、河崎にも話しているので、忍ら隣に座るれー子に話すと、待っていましたと言わんばかりに立ち上がった。そんな彼女の行動を微笑ましく思いながらも、まだ座る女子達に「じゃあ、」と言って、食堂を後にした。
「すき焼きとはビックリだぜい」と、お腹を叩きながらため息と共に声を発した林を見ると、満足そうな顔をしていた。
階段を上ると、忍に薄ら薄ら癖が出始めた。
一段一段と踏み越す足が、段に突っ掛からないように気を付けて上って行くと、視線の上に広い足の甲と筋張った足首に筋肉質なすね毛が斑に覆う脛が見えた。一瞬にして男の足だと分かった。