隣の席の西城くん

「ふ、二人は付き合ってるってこと?」


キョトンとした顔をした衛藤さんは、何を聞くんだこいつは、とでも言いたそうだ。


「付き合ってないよ?」


自分の席に座った衛藤さんは、なんてことないような顔で次の授業の教科書を机から出して、準備を始めている。
西城の方へ目を向ければ、いつの間にかゲームをしまって、こちらをじっと見ていた。


「付き合って、とは言ってないからね」

「そうだねー」


衛藤さんが頷きながらケタケタ笑うけど、いやいやいやなにその雰囲気。
なんでめでたしめでたしって空気なの!

あっ・・・西城が笑ってる。
こいつも笑うんだな。

って・・・なんか、なんかなんかなんか・・・っ!!


「俺の想像してた西城じゃない!」

「・・・へぇ」


会話に飽きたらしい。
またゲームを取り出した。


「シャーペンの人は、いきなり好きだの聞いてきたり、ちょっとデリカシーが足らなそう」

「ね」


西城も西城だけど、衛藤さんもここまでだと逆に波長が合うとかそういうこと?


「なんか、お前らいいな」


素直に言えば、衛藤さんには「何が?」と言われ、西城には無視されてしまった。



・・・いいな、ここ。



「俺このクラスが良かったなー!」

「シャーペンの人、授業始まるよ」
「早く行きなよ」


遠慮ねぇな!
まぁいいけど!



「また次の休み時間に来るからー!」

「はーい、ばいばーい」



手を振り替えしたのは衛藤さんだけで、西城は変わらずゲームに目を向けているままだ。
それでも、その様子を見て「暗いやつだ」という印象は抱かなくなった。






「・・・次の授業、科学室だからここいないけど」

「あぁ・・・まぁいっか」



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