闇ノ花
すると奴は小さくかがみ込み、それも避けた。
この人……強い……。
私は苦無を持ちつつ、足を高く上げて回し蹴りをしようとする。
しかし奴は、今度は高く跳ね、上から苦無を投げつけた。
地面にいくつもの苦無が刺さる。
奴は地面に足をつくと、両手に一つずつ苦無を持ち、私に向かって振り回す。
「く……っ」
私は一つの苦無で応戦した。
ガツンッカキンッと、苦無がぶつかり合う。
「……っ。はぁ……っ」
次第に、私も奴も息が乱れていく。
……いや、まだまだ。
軽く奴を睨みつけながら、私は突進し……力に任せて押し倒した。
そして馬乗りになると、奴の喉元に苦無を押し当てようと右手を振りあげる。
これで、私の、勝ち……。