闇ノ花
私は思わず、床に落ちていた掛け布団を手に取り、山崎に投げつけた。
その布団は見事に山崎にヒットする。
ばさっと布団を被った山崎……何だか、てるてる坊主みたいだ。
「……お前、何をした」
「部屋から出たくないんでしょ?しばらくそのままで待っててー」
「十数えるうちにさっさと着替えろ」
そんなの、言われなくてもやる。
ていうか……。
「もうとっくに着替え終ったよ?」
「……」
布団を床に置いて、山崎は顔を出す。
着替え終わって、きちっと畳まれた着物を見るなり、山崎は小さく息をついた。