闇ノ花
だけど、何で私はすぐに殺せなかった?
──あの時の血の匂いと、人の悲鳴を思い出した。
フラッシュバックするように、鮮明に脳裏に蘇ってくる。
……ズキンと、何故か胸が痛んだ。
手が、震えてきた。
何で?
人が死ぬのを、見たから?
「怖いか?」
「そんな事、ないです」
──怖い?
怖いはずない。
ていうか、怖がってる場合じゃないでしょ?
そんな事したら、復讐なんか出来ない。
何でだろう。
私が、私じゃない──。