闇ノ花


──
───
────



気がついたら私は、あの桜の木の下に立っていた。


はぁ……もう嫌だ……。


ごしごしと、自分の唇を着物の袖で拭う。





「最悪……」





ぽろりと、涙がこぼれ落ちた。


当たり前だけど、今の時期、木に花弁はついていない。


葉も、ついていなかった。


代わりに、地面に落ちているもみじやイチョウ。





「……小松」


「……!」





その時、後ろから山崎の声が聞こえて、私は慌てて目元の涙を拭った。


拭って、笑顔を作ると、パッと振り返る。




< 264 / 522 >

この作品をシェア

pagetop