闇ノ花




何だか、普段何度も見ている町並みが、今日は明るく見える。


きっと、お汁粉っていう楽しみがあるからだ。


それから……山崎がいるからだ。


……何でそう思ったのかは、よく分からない。





「ねぇ、どこのお店に行くの?」


「知らん。汁粉が売ってる店に適当に入る」





相変わらずの適当さ。


……こんなんなのに、監察方の仕事はしっかりとこなしているから謎だ。


ていうか山崎、歩くの早い……!


私は必死に足を動かし、山崎を追い掛ける。


だけど、山崎の歩く速さは少しずつ緩んでいった。


次第に隣同士並び、歩きやすくなる。




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