闇ノ花
私は黙ったまま、何度も首を横に振った。
そして、顔を下に向ける。
「何故、憎まないんだ……何故なんだ……っ」
「……憎めるわけないよ…」
──好きだから。
一粒の涙が、頬の上を伝っていく。
私の手から苦無が滑り落ちて、鈍い音が部屋に響いた。
「山崎……。敵とか味方とか、そんなの関係なしで、私の事どう思ってる?」
「……」
長い静寂が漂った。
私は目元を拭い、さっき通った小さな扉を見つめる。
もう少し時間が経てば、夜が明ける。
「もう、行くね」
「……小松…」
「またね、山崎」
そう言うと、踵を返して外に出た。