【短編】……っぽい。
けれど課長は、どうにも腑に落ちない顔をしてあたしをじっと見てくるので、次第に、何か変なことでも言ってしまったのだろうか……と、心臓がバクバクと嫌な音を立て始めた。
え、あたしのことを、頑張っているね、という意味で言ったのではないのですか? 課長。
違うの? え、え? 違うの?
「し、失礼します……っ!!」
「あっ!」
よく分からないのだけれど、どうやら勘違いをしてしまったようで、猛烈に恥ずかしくなったあたしは、課長に90度、直角に頭を下げ、脱兎のごとく駅に向かってひた走る。
あたしが早く帰れるときでも、誰かしらは必ず残業をしているのだ、残業は特別、頑張っているね、とねぎらってもらえることではない。
課長に褒められた、と勘違いしてしまった自分が、かなり恥ずかしいあたしだった。
けれど、それなら、どうして課長は「頑張りますね」と言ったのかと疑問は残るけれど、いかんせん、ただの平社員のあたしなんぞが課長の心をお察しできるはずもなく、その疑問は、深く考えず丸々投げることにしようと思う。
しかしまた、どうして課長は、今日も会社に残っていたのだろうか……。
とことん謎な人物である。うーん。
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