【短編】……っぽい。
 
けれど、どうやらお見合いの話を持ってきたわけではなさそうな課長は、それから黙々と日付を並べ替え、終わると、まだ手付かずだった次のファイルの整理もしはじめた。

しかし課長は暇なのだろうか。

特に自分の仕事が残っているわけでもなさそうなのに、帰らず、どうしてあたしにつき合ってくれるのでしょうか……謎すぎる人である。


「ありがとうございます、課長が手伝ってくださったおかげで、ずいぶんはかどりました。資料も見やすくなりましたし、これでみなさんが助かってくれるといいですね」

「そうですね、ご苦労さまです」

「お疲れさまです」


それからしばらくののち、お世辞ではなく、本当に課長のおかげで早く資料の整理が終わり、ファイルを棚に戻すと、達成感に包まれながらあたしはさっそく帰り支度を整えた。

課長もすでにコートを着込み、帰り支度は万端なようで、その場の流れもあって、戸締まりを確認し、一緒に会社を出ることになる。

別れ際。


「頑張りますね」


そう言ってくる課長に、あたしはしばし考え、ああ……!と閃き、こう答える。


「帰っても1人なので、することがなくて。残業をして、上手な時間の使い方ができました」
 
< 9 / 20 >

この作品をシェア

pagetop