【短編】……っぽい。
「大崎さん、真山課長とつき合ってるの?」
それからしばらくは、目立って遅くまで残業をすることはなく、相変わらず鬼な課長の雷を遠くから聞く、という日々を送っていたのだけれど、あるとき、同僚の田原さんにそう聞かれ、あたしは思いのほか、動揺してしまった。
「……え、ええぇぇっ!?」
「あれ、違った?」
「そそそ、そんな……っ。ゴホッ」
偶然ランチの時間が一緒になり、たまには外に食べに行こうか、と誘われて行った、洋食店。
熱々のパスタを食べていたところに聞かれたものだから、勢い余ってむせるむせる。
けれど田原さんは、おかしいなー、と首をかしげるばかりで、何がどうなって課長とつき合っていることになっているのか分からないあたしは、違う意味で首をかしげてしまった。
すると「あのね」と、田原さんは言う。
「課長、大崎さんには、なーんか優しげなのよね。この間も、資料の整理を手伝ってくれた、って言っていたじゃない? それ、大崎さんと話がしたくて手伝ったんじゃないかな」
「そう、なの……?」
「うん。だから私は、遠回しに、課長とデキてますって報告をされたんだと思っていたの。でも、そっか。なーんだ、違ったんだー」
「……」