【短編】……っぽい。
「ぽつーん……」
声に出して言うあたり、なかなかイタい。
けれど、ここ最近の残業では常に課長も一緒に残ってくれていたため、フロアが妙に広く感じてしまい、同時に、ものすごく心細い。
このフロアって、こんなに広かったっけ?
机やパソコン、棚などが整然と並んでいて、見た目的にはいつも通りのフロアなのだけれど、課長が1人いないというだけで、このだだっ広さは、思っていた以上にダメージを受ける。
「かちょー。鍵、どこに返せばいいのよー」
しかも、鍵を預かったのはいいものの、どこに返せばいいのかが分からない、とくれば、あたしが取れる行動は、たったひとつだけ。
課長を追いかける、それだけだ。
そうして、課長を追ってフロアを出たのだけれど、すぐに横目に人影が映り、ドアを開け放したまま、あたしは固まってしまう。
「5分以内に大崎さんが追いかけてきてくれなかったら脈ナシ、と、自分ルールを作っていました。今、ちょうど1分経過です。大崎さん、クリスマスは空いていますか? もしよかったら、僕と食事にでも行きませんか?」
「な、なんなんですか、それ……っ!!」
「好き……っぽいんです、大崎さんのこと」