【短編】……っぽい。
 
なんなんだ、課長め。

っぽい、ってなんだ、っぽいって。


「どうでしょう、気になる……っぽいなら、ちょっと誘いに乗ってみてくれませんか」

「はあ、まあ……じゃあ、行きます」


けれど、なんだか微妙な告白をされているのにも関わらず、ゆるりゆるりと丸め込まれてしまったらしいあたしは、相変わらず、にこにこと笑っている課長に、そう返事をしてしまう。

気になりだしたのは今日のお昼からで、しかも田原さんに言われてから、という短い期間ではあるのだけれど、あたしなんぞに“っぽい”でもいいと課長が言ってくれているので、そのご厚意に甘えさせて頂こうと思う。


そもそも、こんなふうに告白をされてしまったら、嫌でも気になってしまうに決まっている。

自分ルールで、あたしが5分以内に追いかけてこなかったら脈ナシ、と決めていた、ということだったけれど、本当にそのつもりだったのかも、正直なところ、なかなか怪しい。


とどのつまり、課長にはいくつも作戦があり、ただの平社員のあたしは、どうしたって逃げられない運命だったのである。

課長に“……っぽい”でも好きになってもらえたのだ、なんとも輝かしい名誉ではないか。

うん。
 
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