【短編】……っぽい。
 
「終わりました、課長。ずいぶん長くおつき合い頂いて申し訳ありませんでした」

「ご苦労さま。じゃあ、もう終わりにしてください。戸締まりは僕がしておきます」

「ありがとうございます。お疲れさまでした」

「お疲れさま」


それでも、時間が経てば仕事も片づくというもので、数時間ののち、今度はフリーズすることなく仕事をしてくれたパソコンから資料をプリントアウトし、フロアをあとにする。

外に出ると、すっかり空気は冷え込んでいて、吐く息は真っ白く、かじかむ手に息を吹きかけつつ、スリスリとこすりあわせた。

……ハエみたいで、なんだか嫌だ。やめよう。


それにしても、真山課長は謎である。

明日の会議には出ないというのに、どうしてあたしの残業が終わるのを待っていたのだろう。

変な人だ。





それから数日が過ぎた日のことだ。

今日は、部署のお局さまに資料の整理を言い渡され、また残業をしていた日のこと。

机に分厚いファイルを何冊も置き、一心不乱に資料を整理していると、また課長が現れた。


「大崎さん、今日は災難でしたね」

「ええ、まあ……。あ、いえ、大丈夫です」

「そうですか。なら、いいです」
 
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