【短編】……っぽい。
 
「大崎さん、その資料の整理、手伝います」

「こんなの課長はいいのに……。怖い怖い」

「え?」

「はうっ!!」


もう一度、同じことを言われ、相当気が緩んでいたのだろう、ついつい気持ちが声になって出てしまい、ついでに妙な声も出てしまった。

おそるおそる振り返ると、しかしにっこりと微笑みをたたえる課長と目が合い、思わず、あさっての方角に視線を泳がせる。

ま、まずい……。

課長が雷を落とす前兆というのは、なんとも爽やかすぎる微笑みなのだ、これがまた。

なんとか取り繕わなければ。


「まず、何をどうしたらいいのですか?」

「……へ?」

「いくら不器用な僕でも、いないよりはマシなような気がします。指示してください」


けれど、雷が落ちるどころか、課長はにっこりと笑ったままそう言い、資料が乱雑に綴られているファイルを手に取るではないか。

ん? たまには課長もやりたいのか……?

なんだかよく分からないのだけれど、怒られる様子もないし、資料の整理にも興味がおありなようなので、手伝ってもらうのも、たまにはありなのかもしれない、なんて思ってしまう。


「あ、それじゃあ、日付を順に並べ替えて頂いてもよろしいですか? ここの日付です」

「了解です」
 
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