後輩レンアイ。



───龍太side



オレは今年の春、この桜坂学園に入学した。

オレの親父は志堂グループの社長で、オレはその一人息子。
まぁ、要するに金持ちの坊ちゃんってわけだ。

その上、あだ名が『王子』とつくほどのイケメンらしく、嫌というほど女がよってくる。

しかし、この学園自体が金持ち学園なワケで、別にオレだけが目立っているわけじゃない。

ただ、金持ちなイケメンというのは人目を引き、全くやっかいである。

そんな学園のウワサ。

“3年の中里清華は、ヤリマンだ。”

“学園の汚れ”

どうやら、中里清華は大分浮いてるらしい。
でも、オレも中里清華に関しては女と同意見だ。

まぁ、学園の汚れまでとはいかないが。

オレは、遊び人が何より嫌いだ。
オレの母親がそうだったから。

でも、親父について行ったのは正解だった。
あの女について行ったら、きっとロクな人生送ってない。

そんなことを思いながら、廊下を歩いていた。

すると、目の前から女が歩いてくる。
雰囲気で分かった。

コイツが中里清華か。

はっ、体を売る女は、どいつもこいつも憎い顔してやがる。
オレはすれ違いざまにいってやった。

「ヤって金もらってるってホントですか?
アンタ、最低だな。

オレそういうヤツ一番嫌いなんだよ。」

忠告してやった。
もうこれ以上学園を汚すな、と。

それなのに。

「アンタにどうこう言われる筋合いはないし、アンタには関係ない。

これがあたしのやり方。

これが、あたしよ。」

そう言って、中里清華はスタスタと歩いていった。

…マジで、なんなわけ?

「こっちがわざわざ忠告してやってんのに…!!」

ふざけんな。
これがあたしのやり方?
汚ぇやり方に自分もクソもあるかよ。

やっぱり、最低に変わりはねぇな。

クソッ!

なんで、美人は遊び人ってきまってんだよ…!
あいつが遊び人じゃなかったら…

…ん?

遊び人じゃなかったら?
なに考えてんだオレ。

「はは、オレにもあの女の血が流れてるってことかよ。」

ホント、そう考えるだけで吐き気がする。
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