後輩レンアイ。

「君にとっても悪くない話のはずだが?
金銭面に余裕があるのは、取り立てが来ていないからだろう?
郷に入っては郷に従え、という言葉を知っているかね?
君にはどうもそれが足りないようだ。

それに、君は断れないはずだが。
お母さんとお父さんが亡くなったのは君のせいでもあるだろう?

両親代わりに子供を育てなければいけない君は、家族を見捨てるのかな?

あぁそうか、
それともあの時のように君は「やめて!」

うるさい。
うるさいうるさいうるさい。
そんなこと、アンタに言われなくったって。

あたしが一番、よーくわかってんのよ。

「…やればいいんでしょう?
やれば。
わかりましたよ、この依頼受けさせていただきます。
お支払は現金で頼みますよ。
結局あたしに拒否権なんて最初からないんでしょう?
ま、どーせこんなことだろうと思いましたけどね。」

「察しがよくて助かるよ。」
理事長は、そう言ってあたしにUSBメモリを渡した。

「これは?」

「彼のデータだよ。
今に至るまでの経緯、それから彼の性格、身長体重まで事細かに載っている。」

いやいや、身長体重その辺の情報いらないでしょ。

「あ、そうそう、理事長にひとつ訂正が。」

「なんだね?」

「あたしはあくまでも清桜祭実行委員《代理》なので。」

そう吐き捨て、あたしは理事長室を出た。
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