後輩レンアイ。
───龍太side
俺はセンパイが行ってから呟く。
「なんなんだよ。」
『アンタに好かれるために素直に謝った』
そう言いたかったのかよ。
ふざけんな。
マジふざけんな。
意味わかんねぇし。
俺に好かれたいって、どういう事だよ。
俺に惚れた?
どこに?
顔?地位?性格…は、ないか。
なにしろ、俺はセンパイの前だと王子を演じきれなくなるからな。
センパイは、すぐに見破ってしまう。
…だけど、あれ?
俺初めて会ったときからセンパイの前で王子演じてなかったよな?
なんでセンパイを目の前にすると、『王子』でいられなくなるんだろうか。
なんか、センパイが魔法使いみたいだ。
俺がかぶった“王子”という仮面を溶かす魔法。
外してくれる、唯一の人。
『アンタにはアンタの、あたしにはあたしの、事情ってもんがあるでしょう?』
………フッ。
あの無表情女が、俺を救う魔女、なんて。
皮肉だな。
でも…
『アンタに好かれるために素直に謝った』
案外、悪くないかもしれない。