さかのぼりクリスマス
触れ合う、手のひらとほお。頭の重さを、おれの手に少しあずけて、ナナは言った。
「…ハルちゃんって、すごいよなぁ」
「ん?」
「わたしがマイナスにグルグルしてるの、真逆の答えで、ふっとばすんだもんなぁ」
ふわりと笑う息が、手にかかる。
ナナの手が、おれの手に重ねられる。
小さくて、細くて、いとおしいのと守りたいの、そういうのが一緒になってこみ上げる。
「でも、おれたちのは、ホントだと思う。ホントの”ずっと”だと思う」
「なんで?」
「り……理由はないけど、なんかこう、ほら、すっげー確信があるんだよ!」
必死にそう言うと、ナナは吹き出してわらった。
たくさん笑ったあと、ちょっとだけ息をとめて、ちょっとだけ切ない、泣きそうな顔をしたナナを、抱きしめた。
今年のクリスマスは、あったかいな。
「…シチュー」
「ん?」
「食べないと、冷めちゃう」
「うん。でも、もうちょっとだけ」
もうちょっとだけ。
もうすこし。すこし。ほどほどに。ながく。すごくながく。
死ぬほどながく。
ずっと。
ふたりの”ずっと”が、ホンモノになりますように。
何年たっても、おんなじあったかさが、そばにありますように。
【end.】


