さかのぼりクリスマス

 なんて返していいのか、わからなかった。


 ずっと一緒。

 ずっと好き。

 ずっと。ずっと。

 永遠を意味するはずのその言葉は、たしかに果たされたことはない。

 発したその瞬間には、ウソにするつもりがなくても。

 簡単にこわれてしまう、薄っぺらな、永遠。


 そういう約束をしただれかがいることに、ヤキモチに似た気持ちも芽生えたけれど。それよりも、息がつまった。

 触れているところから、ナナのさみしい気持ちが伝わってくるようで。


「…ごめん。なんかわたし、すごいめんどくさいね」


 固まったままのおれに、ナナが言った。

 丸まって、どんどん小さくなっていく背中。

 おれはギュッと腕に力をこめて、肩のところにアゴをのっけた。


「おれは、よかったと思う」
「…え?」
「ウソでよかったんだよ。ナナが今まで言われた”ずっと”が、ウソでよかった。おれが言ってきた”ずっと”も。ウソになってよかった。ウソツキにならなかったら、おれとナナは、一緒にいないし、いま。ナナのシチューも食べられないし、こうやって、」


 ゆっくりと、ほおにふれる。


「さわれてない。だから、よかった」


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