Street Ball
一人でベンチに座るアキを残し、[SB]のコートへと走る。


俺を見送った後のアキの表情は、掴み所のない笑顔など影形もなく、ただ悲しそうだった。


数分で[SB]のコートへ着くと、既に泰二と鉄が1on1をしていた。


「遅せーぞ夏目!」


先に俺の姿を見つけた鉄が、フェンス越しに文句言ってくる。


「悪ぃ悪ぃ。寝過ごしてた。」


店内からコートへ抜けるドアを開ける時、雑誌を眺めている富さんを一瞥した。


さっきのアキは、何に声を荒げていたのだろうと思わせる程、何時もの富さんが其処に居る。


それ以上深くは考えずに、二人が待つコートへ入った。


明日の決勝は、俺が機能しなければ良いだろう。


三対三でも勝てるかどうか分からないのに、それが三対二になれば勝てる筈がない。


泰二と鉄に、八百長なんて汚いプレーはして欲しくない。


その先の事は、明日の決勝が終わってから考える事にしよう。


部屋でウジウジ考えてるより、外に出た方が名案が浮かんだ。


それで、良い筈だ…そうやって何度も自分に言い聞かせた。
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